
昔、珠洲の沖に大変あばれ者の大ダコがいました。大ダコは、丸太ほどある太い足で、海をたたいて津波を起こし、漁師たちをたびたび危険な目にあわせていました。
そんなある日のこと、浜の物見が大声で村じゅうにさけびました。「おーい、大ダコがこっちへ来るぞう!」村はたちまち大騒ぎです。村人たちは、家をこわされたらたまらんと、モリやスキを投げて、大ダコが浜に上がるのを食い止めようとしました。しかし、大ダコはあっという間に浜に上がり、家や畑をふみつぶし、死人やけが人がたくさん出ました。
それから半年後。村がようやくたて直ってきたころ、再び大ダコがやってきました。「うわぁ、またあばれタコだ!」物見の声に、村人は今度こそみな殺しにされると震え上がりました。「逃げろー!みんな山王(さんのう)の杜(もり)へ逃げろー!」人びとは村の一番奥にある鎮守の杜の、山王の神さまのところへとかけ込みました。
しかし、大ダコは村中をメチャクチャにし、さらに山王の杜をめがけてのぼってくるではありませんか。「どうか山王の神さま、助けてください!!」村人たちは身をよせ合って祈りました。そして鳥居の前まできた大ダコが、太い足をふり上げたそのときです。突然、天にもとどくほどの大きな武人があらわれました。
「二度も村をあらし、この杜までふみ入るとは何事だ。」武人はそういって、大ダコの足をたちまち剣で切り落としてしまいました。さらに「おまえのようなあばれ者は、島になって、これからは波風から舟とこの村を守るんだ!」といい、海をめがけて大ダコをほうり投げたのです。
「こりゃ山王の神さまだ。」村人たちはよろこび、手を合わせました。そしてふと気がつくと、武人の姿はもうそこにはありませんでした。
こうして漁師たちは再び安心して漁にでられるようになり、このとき海に投げられたのが今の蛸島の近くの島なんだとさ。
■ 豪華絢爛「蛸島の秋祭り」・・・・・・・・・・珠洲市・蛸島町
物語に由来する珠洲市蛸島町の高倉彦神社で、毎年開かれる「蛸島の秋祭り」(9/10・11)。二百年余りの伝統があるこの祭では、派手なドテラを身にまとった男衆が、キリコをかついで勇壮にまちをねり歩きます。蛸島のキリコは他地域より小さめですが、総漆塗りに金箔を使い、彫りものをしたその細工の美しさは見事なもの。珠洲を代表する祭りの一つです。 |
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